蘭郁二郎、という作家をご存知でしょうか。

今から100年前に生まれ、30歳の若さで事故死するまでに数多くの探偵小説を執筆し、晩年は児童向け科学小説で人気を博しました。
今回は彼の初期の探偵小説の何篇かをコラージュして映像化・舞台化いたします。 

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探偵小説、といってもこれらの作品に探偵は登場しません。それどころか事件が解決すらしない。
当時は異端的な作品はすべて探偵小説という括りで売ろうという出版社の企みがあったそうです。
そんな中、蘭は欲望や不安、若者の孤独な内面世界を描き続けました。
誰も救いを与えてくれない、出口のない悪夢を。 

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稽古をしながら、今、目の前にいる若き俳優たちはどんな悪夢を抱えているのだろうと想像します。
意外とそれは100年前の作家と繋がっているのかもしれない。
そして我々が生きているこの状況も。
心の中と皮膚の外、どちらが本当の悪夢なのだろう？ 

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映像版と舞台版はほぼ同じ脚本をつかい、それぞれの手法でしかできない面白さを追求します。
はてさて、どれくらい遠くまで行けるかな。
小説、映像、舞台。作家、俳優、観客。
三面鏡の中に折り重なり果てしなく続く闇の中へ、どうぞお越しください。